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2024.02.072024.02.07

築50年マンション買っても大丈夫?メリットやデメリット、お宝物件を探す方法を解説

はじめに

「築50年がお宝物件になるたった1つのポイント」何か知っていますか?不動産ポリスの朝倉です。築50年と聞くと、皆さんはどのようなイメージをされますでしょうか?「劣化が進んでいる」「住宅ローンが通らない」などマイナスなことが浮かんでいるかもしれません。しかし、実は、「ある落とし穴」にはまらなければ、築50年だとしても、安価で資産価値も担保できるお宝物件を購入できることもあります。そのような物件を、ご自身の先入観で逃してしまうのは、非常にもったいないです。そこで今回は、中古マンション取引件数2500件の私不動産ポリスが、「知らないと危険!築50年の落とし穴3選」というテーマで、次の3つのテーマに分けて解説していきます。

1.築古物件市場の現状
2.築50年を購入するメリット
3.築50年の3つの落とし穴と対策

後半では、知らないと損する!3つの落とし穴にはまらないための“あるポイント”を解説していきますので、最後までお見逃しなく。

本編

①築50年のマンションって実際どうなの?

まずは、最近の不動産市場における築古物件の現状について解説していきます。 築古物件は年々市場にも増加しており、不動産流通機構が公表している「東京都中古マンション築年数別成約状況」によると、築30年以上の物件が全体の約30%程度を占めています。これは、新築や築浅物件の価格上昇により、多くの購入希望者がそのような物件に手を出しにくくなっていることから、比較的お手頃価格で購入できる築30年以上の築古物件の需要が高くなってきています。 そして、色々な築古物件を見て比較検討していく中で、価格がよりお手頃である築50年の物件を検討することになるケースもあるんですね。

しかし、「比較的お手頃価格で購入はできるけど、築50年も経過しているし、本当に買って大丈夫なの?」と不安に思われる方も多いのが現状です。「築古」「旧耐震」といったワードを聞いた時に連想するイメージから、このような不安を持たれる気持ちもよく分かります。ですが、築50年の物件にも価格の面以外のメリットはありますし、ある落とし穴にはまらなければ、お宝物件ともいえる物件に出会える可能性が高くなるんですね。そこで、ここからは、どういうケースであれば築50年でも買っていい物件なのかについて解説していきます。

②築50年マンションのメリット

まずは、築50年の物件のメリットについて、解説していきます。それは、次の4つが考えられます。

①価格が安く、大幅な価格の下落が少ない
②立地が良いことが多い
③リノベーション・リフォームにお金をかけやすい
④管理の歴史を確認できる

それでは、詳しく解説していきます。

価格が安い!大幅な値下がりも少ない

まず一つ目は、「価格が安く、大幅な価格の下落が少ない」ことです。 築50年のマンションを購入するとなれば、まずいちばんの魅力は、価格の安さでしょう。 不動産市場のデータから、築50年の物件は比較的安価で取引される傾向があり、公益財団法人東日本不動産流通機構「中古マンションの築年数別平均価格」のデータ(図1)からも、築31年を超えるマンションの市場価値は新築当時から30~40%程度まで下落していることがわかります。

マンションは築が古くなるとともに価格が下落しますが、一定のラインで下げ止まりがおきる傾向があります。もともと住宅ローン控除の基準が緩和される2022年以前は、ローン対象外となる築26年あたりで下げ止まりが起きていましたが、緩和後は築26年以降も下落するようになりました。そこから推察するに、このデータには表れていませんが、築31年以降も価格は下落を続け、旧耐震となる築43年くらいをピークに下げ止まりに達するとみられます。 要するに、築50年も経過したマンションであれば、市場価格的にはほぼ底値に達していると考えられ、価値がぶれにくい安定した資産を購入できることに繋がります。

駅近物件多数!1960~70年代建築だからこその好立地

メリットの二つ目としては、「立地が良いことが多い」ことが挙げられます。1960~1970年代の建築ラッシュ期に建てられた物件は、都心部や交通アクセスの良い場所に立地していることが多いです。最近の新築マンションは、駅周辺にはなかなか土地がないため、建築するにしても、湾岸の埋立地エリアになってしまうか、郊外エリアになってしまうか、都心の再開発エリアに建設することになってしまいます。

しかし、建築ラッシュ期に建てられたマンションであれば、先に建てられている分、駅から近かったり、お店が多く利便性の高い場所だったりするので、立地がよくなる傾向が強いです。日本の1960年〜1970年といえば、高度経済成長期に伴い、大規模な都市開発や住宅建設が行われました。この時期には多くの大規模な開発プロジェクトが実施され、都市部やその周辺地域で多くの住宅が建設され、たとえば、東京都新宿の「新宿副都心開発」であったり、「大阪万博記念公園周辺の開発」「都市高速道路の整備」などがその代表例ですね。 これらの大規模プロジェクトからも、築50年のマンションが都心へのアクセスの便利さや周辺インフラの整備など、立地条件が良いという点に繋がっています。

リノベーション費用をたっぷりかけられる!自分だけの理想の住まいに

メリットの三つ目としては、「リノベーションやリフォームにお金をかけやすい」ことです。新築マンションと築50年のマンションであれば、その価格の差は数千万円単位で変わってきます。そうなれば、物件自体の価格を抑えてリノベーションにお金をかけることによって、築50年のマンションであっても、新築にも負けないような自分好みの理想の住環境を作ることができます。例えば、「キッチンのリフォーム」であれば、好みのデザインや自分が使いやすい導線にしたり、最新の設備や収納スペースを備えたりも出来ますし、マンションの「床材の交換」をすることで、室内の雰囲気を一新することができます。モダンやナチュラル系、北欧系など、一気に理想とする空間に近づけることが出来ますね。もちろん新築や築浅物件であれば、内装も綺麗ですし最新設備が備わっているケースがほとんどですが、万人受けしやすい内装デザインのものが多いです。

そのため、予め設定した予算の内訳の割合を、物件価格自体は築古物件を選ぶことで抑えめにして、リノベーション費用に多くあてることで、同じ予算の中でも、自分好みのこだわりが詰まった生活空間にすることが出来ますので、そこが非常にメリットかなと思います。 しかし、キッチンなどの水回りから変えていくとなると、費用が大きくかかってしまったり、マンションの構造的にはできないという可能性もありますので、そこは、購入前に専門家の方や不動産業者の方としっかり相談するようにしてくださいね。

管理状態がわかりやすい!安心のマンションライフ

メリットの四つ目としては、「管理の歴史を確認できる」ということです。築年数が経過しているということは、マンションの管理の歴史も長いので、これまでどんな管理がされてきて、どんな方が住んでいるのか、どのようなコミュニティが形成されているのかが、より確認しやすくなります。このような、今までのマンションの管理の歴史を確認してから購入に踏み切れるというのは魅力の1つです。

物件の管理状況は、住人の生活環境や共有施設の利便性に大きく影響します。仮に、管理状況が悪いマンションにあたってしまうと、住民のみんなが利用する「共用部」が適切に管理できていないということもあります。「共用廊下」「ゴミ捨て場」がゴミや広告物で荒れていたり、駐輪場が適切に管理できていないせいで、自転車が綺麗に並べられていなかったり、カゴにゴミが捨てられてしまっていたりという状況になっていることもあります。

しかし、管理の良い中古マンションであれば、住人の質が良く、良好なコミュニティを形成されていたりするので、適切な管理が行われている物件は、ヴィンテージマンションとして資産価値が保たれることもあります。また、実は、私も築51年のマンションに住んだことがあるのですが、管理人さんがとても良かったんですね。マンションの情報であったり、入居者さんの情報もわかっていますので、実際に情報をくれたり、相談に乗ってくれました。私の実体験や他の方から伺った話では、このような良い管理人さんは歴史のある築古マンションにいらっしゃることが多い印象です。これは、安心して生活していく上で、かなりメリットかなと思います。

②築50年マンションのメリット

図1

③築50年マンションを購入する際の注意点

ここまで、築50年のマンションのメリットを解説してきました。「思っていたより良いかも!」と思われた方も多いのではないでしょうか?しかし、やはり「落とし穴」ともいえるデメリットも存在します。そこで、築古の中古マンションを選ぶ際の「3つの落とし穴」についても解説していきます。

耐震性は大丈夫?

まず一つ目は、「耐震性」についてです。築50年の物件は古い耐震基準で建てられていることがあり、現行の耐震基準に比べて安全性に不安があります。現在主流の新耐震基準というのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災を教訓に、建築基準法において改正された基準です。この基準では、建物の耐震性能をより確保されており、「震度6以上」の大規模地震で建物が倒壊しないことが定められているため、地震大国の日本では、資産価値を大きく左右するチェックポイントです。

一方で、築50年のマンションで採用されていた旧耐震基準となると、新耐震基準に比べて耐震性能の基準が緩く設定されており、「震度5強レベル」の揺れでも建物が倒壊しないように設計されているため、耐震面でやや不安が残ります。また、こういった、法改正・建築構造などの面から価格帯も安くなっていますが、この「耐震基準」の違いで、住宅ローン控除が使えるかどうかも異なってきます。住宅ローン控除は年末のローン残高のおよそ0.7%を所得税・住民税から控除できるお得な制度ですが、旧耐震基準の物件になると、住宅ローン控除の対象にならないという点も、落とし穴になってきます。

管理状態は良好?

二つ目の落とし穴としては「マンションの管理状態」についてです。築50年の物件は、構造体や共有部の経年劣化が進んでいる可能性が十分にあります。特に「落とし穴」としてお伝えしたいのが、配管や構造体の劣化が住み心地に直接影響することです。マンションの構造体である「鉄筋コンクリート」は適正な修繕工事が実施されていない場合には、建物の寿命が短くなってしまう可能性があります。ライフラインである「配管」においても同様に、適正な維持・管理が行われていないと、水道から赤錆が出てきてしまい、住める状態のマンションではなくなってしまうことも考えられます。

見落としがちなケースとしては、リノベーションされて内装が綺麗になっていたので、内覧時に盛り上がって購入したものの、配管や設備が劣化している状態だったため、住み始めたら不具合が発生したというものです。このような管理状態というのは、部屋の内装を見ただけでは判断できない部分であるため、どのような管理がされているかをしっかり確認せずに購入してしまうのは非常に危険なポイントになっています。

 将来売却できる?

最後の「落とし穴」として、将来的な「再販がしにくい」ということがあります。築50年の物件を、10年後、20年後の売却するとなると、いくら管理状態がよくても、経年劣化からマンションを購入したいと考える方が少なくなりますし、住宅ローンも使えない可能性が高いです。このような状況を考えても、「購入したい」という需要は減ってくるため、資産価値を担保できるような条件でない物件の場合は、特に「再販」が難しくなってしまうところが「落とし穴」です。

築50年のマンションをお宝物件に変える!見極めのポイント

築50年を超える中古マンションを購入する際には、このような「落とし穴」が潜んでいます。しかし、”あるポイント”を押さえている物件であれば、先程解説した落とし穴にはまらずに、お宝物件といえる築古マンションになります。そのポイントというのは、「耐震基準適合証明書」を取得している物件です。

「耐震基準適合証明書」を取得している物件を選ぼう!

「耐震基準適合証明書」というのは、耐震基準が新耐震と同程度であることを証明できる資料のことです。これを取得出来ている物件であれば、「管理組合の信頼性」「建物の信頼性」「財政面の安定性」といった要素で落とし穴にハマりにくい状態の物件である可能性が高いです。この適合証明書を取得しているマンションというのは、地震などの自然災害に対する耐久性が確保されていたり、住宅ローン控除や贈与税の非課税制度の対象になったりするんですね。また、取得しているということは、管理組合が建物のメンテナンスや耐震補強に積極的に取り組んでいることの証拠にもなります。

更には、そこに住んでいる住民の方も「しっかりメンテナンスをしていこう」という意識が高いため、良いコミュニティが形成されている可能性が高いです。また、このような良いコミュニティに住んでいる方は、年収や生活の仕方などの観点からも、属性の良い方が多いので、そのマンションも立地やエリアなどが良い資産価値が担保できる条件のことが多いです。このように、「耐震基準適合証明書」を取得している物件であれば、先程解説した築50年の落とし穴にはまらずに、お手頃価格で購入できるかつ、良い条件のお宝物件である可能性が高いので、取得しているかどうかを必ずチェックするようにしてください

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、「【中古マンション】知らないと危険!築50年の落とし穴3選」というテーマで解説してきました。築50年程度の築年数が経過している物件は、住宅ローン・減税対策や耐震性の点から、選択肢から外されることも多いです。しかし、今回解説したポイントを最低限抑えられている物件であれば、人気エリアでも比較的安価で条件の良いお宝物件を購入できる可能性も高いので狙い目です。一方で、今回解説したポイントに当てはまっていない物件は、住んでいて不便を感じたり、将来売却する際になかなか売れなかったりして後悔してしまうかもしれないので、注意してください。

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